犬を飼っている方の中には、大切な家族である愛犬の健康を考え、与えるフードの品質や栄養成分にこだわっている方も多いと思います。
でも、実は犬にとって食事と同じくらい重要なのが、正しい水の種類や量を与えられているかということ。
犬も人間と同じで、水は生命を維持するために絶対に必要な栄養素です。
どんな水をどれだけ与えれば良いのか知らない。それどころか、「水の与え方なんて考えたこともない」という方もいると思います。
ポチかめ僕も以前までは器に水を入れて、適当に飲ませていただけでした。
ただなんとなく水を容器に入れておくだけだと、愛犬の健康を害してしまうかもしれません。
今回は愛犬の健康を守るために、正しい水の量の計算方法や市販のミネラルウォーターの選び方、水を与える際の注意点について解説します。
犬の栄養学における水の役割


水は犬の健康維持において、主に以下のような重要な役割を持っています。
- 摂取した栄養素の酵素消化
- 栄養を体内に移動させる溶媒
- 体温の調節
- 関節や神経系の保護
- 老廃物の排出
ちょっと難しく聞こえますが、簡単に説明すると次の通りです。
- 摂取した栄養素は体が吸収しやすい形に分解させる必要があるが、水はその化学反応を円滑にする機能を持っている。
(たとえば、炭水化物をブドウ糖に、タンパク質をアミノ酸に変化させるなど) - 分解した栄養を体内で移動させるのも水の役割。
水は食べ物から摂取した栄養を運ぶ溶媒としての機能を持ち、効率良く体に吸収させる役割がある。 - そのほかにも、皮膚や消化器官から水が蒸発することで体温を調節し、体内で作られた老廃物を尿や便として排泄する手助けも行なう。
また、関節の動きを円滑にし、脳や脊髄などの神経系を保護するクッションの役割もある。



つまり、愛犬の体調を整え健康を維持するためには、その子に適した量の水分補給が必要になるということです。
水分が不足するとどうなる?
水分は生体構成成分のうち、およそ60〜70%を占めており、不足すると脱水症状として体に変化が現れます。
犬は体内の水分が数パーセント失われるだけで健康に影響が出始め、大量に不足した場合は生命の危険に関わります。
- 5〜10%以下の水分喪失:皮膚の弾力性が低下する
- 10〜12%以下の水分喪失:皮膚の弾力性が激しく低下する
- 12〜15%以下の水分喪失:ショック症状が起こり、瀕死の状態



たった数パーセント水分不足で、これだけの症状が起こるのでマジで恐ろしいです。
ワンコたちは言葉が話せないので、脱水状態を防ぐには飼い主が愛犬の様子をこまめにチェックするしかありません。
脱水症状のチェック方法としては、首のたるんだ部分を持ち上げて戻り具合を見る方法が有力です。
皮膚がすぐ戻るなら正常ですが、戻り方がゆっくりな場合は脱水状態の可能性が高いので、すぐに動物病院を受診してください。
大切な愛犬の健康を守るためにも、1日に必要な水分量を把握し、適切に水分補給させてあげることが重要です。



ただし、健康なワンちゃんなら、最低限必要な水分要求量を下回らないよう、自然と喉が渇くようになっています。
元気に過ごしているなら、過度に心配する必要はありません。
犬に必要な1日の水分量


ワンちゃんたちにとって、1日に最低限必要な水分量は、体重を用いた計算式で算出できます。
1日あたりの水分要求量=70 ×(体重)0.75 × 係数
70 ×(体重)0.75という数値は、√(ルート)の使用できる電卓があれば簡単に計算できます。
まず、(体重×体重×体重)と計算したあと、=(イコール)を入力してから√(ルート)を2回押し、×70と入力します。
最後にかける「係数」は、去勢・避妊手術の有無や年齢、運動量などによって変わりますが、健康で普通に生活しているワンちゃんなら1.6〜1.8を係数として使用するのが一般的です。



参考までに、以下に体重別の水分要求量を計算した表を作ってみました。
※以下の水分要求量は、普通に生活している健康的な成犬で、去勢・避妊済みと仮定した場合の数値です。
係数1.6で計算し、小数点は四捨五入しています。
| 体重 | 1日あたりの水分要求量(ml/日) |
|---|---|
| 2kg | 188ml |
| 3kg | 255ml |
| 4kg | 317ml |
| 5kg | 375ml |
| 6kg | 429ml |
| 7kg | 482ml |
| 8kg | 533ml |
| 9kg | 582ml |
| 10kg | 630ml |
| 15kg | 854ml |
| 20kg | 1059ml |



「こんなに水を飲ませなきゃダメなの?」と思うかもしれませんが、実際に飲み水として与える量はもっと少なくても大丈夫。
なぜなら、フードにも水分が含まれているからです。
飲み水の必要量はフードのタイプによっても変わる
最低限必要な水分量が分かったうえで、実際にどのくらいの水を飲ませなければならないかは、どんなタイプのフードを与えているかで大きく変わります。
一般的に主食となるフードは、「ウェットタイプ」「ドライタイプ」「セミモイストタイプ」の3種類。
- ウェットタイプ・・・水分含量が60〜87%以上のフード
- ドライタイプ・・・水分含量が3〜11%のフード
- セミモイストタイプ・・・水分含量は25〜35%程度のフード
1番水分の量が多いのは缶詰めフードなどに多い「ウェットタイプ」で、最も少ないのがカリカリフードの「ドライタイプ」。
そして、その中間の水分含量となるのが、少ししっとりとした「セミモイストタイプ」です。
また、手作りフードの場合は使う食材や調理方法にもよりますが、だいたいウェットタイプと同じくらいの水分含量になることが多い傾向です。



愛犬の特性とフードのタイプをうまく組み合わせると、1日に必要な水分補給量を達成しやすくなります。
たとえば・・
- あまり水を飲まないがよく運動する→ウェットタイプフードか、ドライフードを水でふやかす
- よく水を飲み運動量はほどほど→ドライタイプとセミモイストタイプを使い分ける など
普段愛犬がどのくらい水を摂取しているかを見て、水分要求量を下回らないようにフードのタイプで調整するのがおすすめです。
水道水とミネラルウォーターはどちらがいい?
愛犬に与える水は水道水とミネラルウォーターのどちらが良いのか聞かれた場合、僕は水道水をおすすめしています。
水道水を推奨する理由は以下の2つ。
- 日本の水道水は厳しい水質基準をクリアした世界トップクラスの品質
- ほとんどの地域はマグネシウム濃度の低い軟水(※一部地域を除く)
カルシウム塩・マグネシウム塩などのミネラルが豊富に含まれた硬水は、犬の尿路結石症の原因になると言われています。
市販のミネラルウォーターにはミネラル含量の多い硬水も存在するので、適当に選ぶのは危険です。



その点、水道水の硬度は100mg/L以下の場合がほとんどなので、比較的安心して与えられます。
わざわざ水を購入する手間と費用もかかりません。
日本の水道水でも、一部地域では硬度が100mg/Lを大きく超える場合があります。
住んでいる地域の浄水場が分かれば、以下のリンクから硬度を調べられるのでチェックしてみてください。
全都道府県別水道水 硬度・pH(引用:ジェックス株式会社)
ちなみに、わが家の場合は蛇口に浄水器を取り付けた水道水を飲ませています。
カルキ臭や塩素の匂いなどを取り除けるので、愛犬が水を飲みやすくなると考えているためです。
ただし、注意点として、浄水器を通した水は細菌が発生しやすいので、1日のうちに2〜3回は水を交換するように気をつけています。
飲み水としてミネラルウォーター(硬水)を与えてしまっても大丈夫?
ミネラル含量の多い硬水を与えてしまっても、すぐに健康に影響が出るわけではありません。
硬水のマグネシウム量が多いと言っても、ドッグフードやおやつから摂取するマグネシウム量のほうがはるかに多いので、それらに比べれば飲み水からのマグネシウム量は微々たるものだからです。
ただし、硬水を日常的に飲み続けると、尿路結石症のリスクが上がる可能性はあります。
結石体質の子や普段水をあまり飲まないというワンちゃんには、できる限り水道水か軟水のミネラルウォーターを選んだほうが安心です。
市販の水(ミネラルウォーター)の選び方とおすすめ商品


上で述べたように、市販のミネラルウォーターを愛犬に与える場合は、「硬度が100mg/L以下の軟水」を選ぶのが基本です。
ミネラルウォーターのラベルには、「硬度◯◯mg/L」と表記されているので、選ぶ際にチェックしてみてください。



手に入りやすいもので、硬度80mg/L以下の軟水にあたる比較的安心な商品をピックアップしておきます。
- 「クリスタルガイザー」・・・硬度38mg/L
- 「アサヒおいしい水 天然水 六甲」・・・硬度40mg/L
- 「サントリー天然水」・・・硬度10〜80mg/L(採水地により異なる)
- 「い・ろ・は・す」・・・硬度27〜71.1mg/L(採水地により異なる)
ペット専用の飲料水ならさらに安心
また、徹底的にこだわりたい方は、以下のような犬猫向けに作られたペット用の飲料水を検討するのもアリ。
ミネラル成分がゼロのペット向け飲料水なので、「水の成分とか難しいことは考えたくない」という人に最適です。
水としてはかなり割高なのがネックですが、ミネラル成分によるリスクがないので、自宅の水道水の硬度が100mg/Lを超える地域の方にもおすすめできます。
容器に入れっぱなしはNG!水はこまめに入れ替える
長時間水を入れっぱなしにしておくのは、細菌が発生しやすくなるのでNG。せっかく成分にこだわっても台無しになります。
ワンちゃんが口をつけた水の器にはよだれなんかも混じっているので、雑菌が繁殖しやすい状態に。
夏場など菌が増殖しやすい時期は特に注意すべきです。



水は継ぎ足しではなく、古い水と交換するのが基本です。
容器も頻繁に洗うようにしています。
【参考】飲み水の容器は平置き型がいい?ノズル型でも大丈夫?
ワンちゃんの飲み水を入れる容器は、だいたい次の2種類のどちらかを使う人が多いと思います。
- 平置き型(器タイプ)
- ケージ取り付け型(ノズルタイプ)
それぞれにメリット・デメリットがあるので、扱いやすさや愛犬のタイプによって使い分けるのがおすすめです。
平置き型の器タイプ


もっともオーソドックスなのが、平置き型の器タイプです。
水の入れ替えや容器の洗浄がしやすく、水を清潔に保ちやすいのが特徴。
床に直置きするよりは少し高さがあったほうが飲みやすいので、台を用意するか高さのある容器を使うのがおすすめです。



デメリットは、容器を倒すと大量の水がこぼれること。
ワンコが走り回る導線に設置する勇気はありません。
いたずら好きのワンちゃんは盛大にこぼしてしまうことも多いので、設置場所はよく考えたほうがいいです。
ちなみに、ウチのワンコが使っているのは下の容器。目盛りが付いているので水分量を把握しやすくて便利です。
ケージ取り付け型のノズルタイプ


一方、ケージなどに設置するノズルタイプは、先端部分を舐めることで水が出てくる仕組みになっているため、水が大量にこぼれる心配がありません。
ただ、このタイプは一度に飲める水分量が少ないため、ワンちゃんによってはストレスを感じるかも。パピーちゃんや小型犬なら検討してもいいと思います。
また、ノズルの内部は非常に洗いにくいうえに雑菌も発生しやすくなるので、清掃の手間がかかるのもデメリットです。



わが家の愛犬もパピー期はノズル型を使用していましたが、デメリットが多かったので今は器型に移行しています。
うちの子がパピー期に使っていたのは下の商品。
ノズルタイプにしては一度に出る水の量が多いので、よく水を飲むワンちゃんならこれがおすすめです。
愛犬の健康管理は飼い主の責任


人間と同じように、犬にとっても水の摂取は健康維持のためにとても大切です。
ただ僕たちと違うのは、ワンコたちは自分で飲み水を用意したり選んだりはできないということ。
適切な健康管理ができるかは僕たち飼い主次第だということを忘れず、いつまでも愛犬が健康でいてくれるよう心がけていきたいと思います。








