冬に楽しめるイベントといえば、キレイにライトアップされたイルミネーションですよね!
写真が趣味なら一度はキレイなイルミネーションをカメラに収めたい人も多いはず。
ですが、暗い中での撮影はシャッタースピードが落ちて手振れすることが多くなり、「三脚がないと撮影できないのでは?」と思う方も多いですよね。
結論として、イルミネーションは三脚がなくても手持ち撮影が可能です。
※この記事の写真は全て「手持ち撮影」したものです。
- 三脚を持っていない
- 人混みの中で三脚を使うことに気が引ける
- 三脚の使用を禁止されているエリアで撮影したい
上記のような方へ、実際の写真を交えながら「手持ち撮影の方法・コツとカメラの設定」を紹介いたします。
実は、イルミネーションの写真をしっかり撮るのは初めてだったのですが、カメラの設定さえきちんとすれば、素人の私でもキレイに撮影することができました。
周りが暗い夜景撮影は昼間の撮影よりも難しくなりますので敷居の高さを感じていたのですが、ポイントさえ押さえれば意外とキレイに撮れるんです。
これからイルミネーション撮影にチャレンジしたい方はぜひ参考にしてみてください!
手持ちでの撮影方法
- 「絞り優先モード」か「マニュアルモード」で撮影する
- 絞り値(F値)は開放気味にする(F値を小さくする)
- シャッタースピードは手振れしない速さにする
イルミネーションの撮影は、カメラのオートモードだとあまりキレイに撮れないことが多いです。
でも設定をしっかり行えば、カメラの性能を十分に発揮した写真を撮ることができます。
ここからカメラの設定を解説していきます。
「絞り優先モード」か「マニュアルモード」で撮影する
撮影モードは、基本「絞り優先モード」(A・Av)を使って OKです。
絞り値(F値)はなるべく開放(数字を小さく)付近に設定します。
絞り優先モードはF値を決めれば、シャッタースピードはカメラが自動で適切な速度を設定してくれます。
マニュアルモードの搭載されているカメラであれば、マニュアルモードでもOKです。
マニュアルモードは難しいと思われがちですが、仕組みさえ分かれば自分の思う通りに設定できる分、Pモードや絞り優先モードよりも楽な場合もあるんですよ!
- 絞り値(F値)
- シャッタースピード
- ISO感度
この3つの設定を調整し、明るさやボケ具合など状況に応じた設定で撮影する方法です。
絞り値(F値)は開放気味にする(F値を小さくする)
絞り値(F値)は数字が小さくなるほど明るい写真になります。
絞り優先モードの場合、F値が大きくなるとシャッタースピードが遅くなると覚えておきましょう。
F値が大きくなる(絞る)と、レンズに入る光の量が少なくなり、その分の光量を稼ぐためシャッタースピードを遅くしようとするためです。
このようにシャッタースピードが遅くなると手振れの原因になりますので、F値はできるだけ数字が小さくなるよう設定してください。
F値を小さくすると背景がボケるけど、ボカしたくない時はどうするの?
全体的にピントを合わせたい場合は、反対にF値の数字を大きくする必要がありますが、前述のようにシャッタースピードが遅くなってしまいます。
その場合は、ISO感度を上げることで明るさを調節します。
ISOは数字を上げるほどに写真が明るくなりますが、そのかわり写真にノイズが乗り画質が悪くなるというデメリットがあるので、上げすぎに注意してください。
僕の場合、ISO感度は最高で6400までにしています。
カメラの性能やセンサーサイズにもよりますが、個人的に3200〜6400くらいまでの画質が許容範囲です。
これ以上にISOを上げないと撮れない場合は、手すりや壁に体を押し付けて、手振れしにくい体勢で撮影しています。
後ほど手ブレしないコツを解説します。
シャッタースピードは手振れしない速さにする
手持ち撮影でイルミネーションを撮る最も重要なポイントは、シャッタースピードを手振れしない速度まで上げることです。
上の写真はシャッタースピードが遅くなり、手振れしてしまった写真です。
絞り優先モードで撮影しましたが、被写体が暗いため、F値が3.2でもシャッタースピードが1/8秒まで遅くなってしまっています。
つまり、もっと明るさを上げなければならないのですが、シャッタースピードを落として明るくすると手振れになってしまうので、この場合は手振れしない速度になるまでISO感度を上げて明るさを確保する必要があります。
手振れしないシャッタースピードの目安
では、シャッタースピードはどれくらいに設定すれば手振れを防げるのか。
目安としては、撮影しているレンズの焦点距離と同じ数字のスピード以上になれば手振れしにくくなります。
具体的に言うと、撮影しているレンズの焦点距離が
- 50mmのレンズなら1/50秒
- 28mmのレンズなら1/28秒
以上のスピードなら手振れを起こしにくくなります。
「絞り優先モードでF値を決めたら、シャッタースピードが遅くなってしまった」という場合は、このことを参考にISO感度を上げて調整してみてください。
ただし、画質の劣化を防ぐために、ここでもISO感度の上げ過ぎには注意です!
また、これはあくまで目安ですので、手や腕でカメラをガッチリ固定して撮影できれば、これより遅いスピードでも上手く撮れますので挑戦してみて下さい。
シャッタースピードが速すぎると写らない?
イルミネーションに限らず、LEDライトを撮影する時は「速すぎるシャッタースピード」にも注意が必要。
LEDって実は、目に見えないほどの速さで高速に点滅しているんです。
1秒間におよそ100回点滅しているため、シャッタースピードを1/100秒より速く設定してしまうと、LEDが消えている瞬間を撮影してしまうことがあるからです。
上の写真は1/400秒のスピードで撮影したため、手前の青いイルミネーションに点灯していないLEDがあり、ライトがまばらな写真になってしまっています。
せっかくのキレイなイルミネーションがとても残念な写真になってしまいますので、あまりキレイに撮れてないなと思ったらシャッタースピードが速すぎていないか確認してみてください。
手持ち撮影のコツ
- カメラをガッチリホールドする
- 手すりや壁を利用する
- 右手に力を入れない
- セルフタイマーを使う
- シャッターを切る時は「息を止める」
手振れの原因は、シャッターが切れる瞬間にカメラが動いてしまうことです。
これを防ぐためにいくつかコツがあるので紹介します。暗い夜間撮影ではきっと役立ちますよ。
カメラをガッチリホールドする
イルミネーションに限らず、暗い中での撮影は「撮影時にカメラを動かさないこと」が上手く撮るコツです。
両足を踏ん張り、脇を閉めてがっちりカメラを固定しましょう。
手に力を入れるより、両脇と腰に力を入れると体の軸が安定しますので試してみてください。
手すりや壁を利用する
撮影場所付近に手すりがあれば、カメラを手すりに乗せると「ブレ防止」に役立ちます。
また、近くの壁に自分の体を押し付けておくことも有効な手段です。
三脚がなくてもこれである程度ブレを抑えることができます。
右手に力を入れない
カメラを構えたら、左手でカメラを支えるようにし、右手には力を入れないことがポイントです。
右手はシャッターを切るので、力が入っているとボタンを押した瞬間にカメラが動いてしまうことがあるからです。
右手はそっとシャッターボタンを押せるようにリラックスしておくとブレづらくなります。
ソフトレリーズボタンを使うとブレづらい
シャッターボタンにネジ穴が開いているタイプのカメラには、シャッターを押しやすくなるソフトレリーズボタンを使うことでブレを軽減できます。
シャッターボタンにはネジ穴が開いているタイプのカメラがあります。
レリーズケーブルを差し込むための穴ですが、ここにソフトレリーズボタンを取付けられます。
軽い力でシャッターが押せ、半押しもしやすくなります。
ネジ穴が開いているタイプのカメラをお持ちなら試してみてください。
セルフタイマーを使う
シャッターを切る際に「セルフタイマー」を使うことも有効な手段です。
セルフタイマーを使えば、シャッターボタンを押す力によりカメラが動いてしまうことを防げます。
手すりなどでカメラを固定する場合はセルフタイマー機能も試してみてください。
シャッターを切る時は「息を止める」
これは私のおまじないに近いものですが、結構効果ありだと思います。
カメラを構えたら大きく息を吸って、シャッターを切る瞬間に「フッ」と息を止めます。
呼吸する時に上半身が動いてしまうので、その動きを止めるために私は実践しています。
どうしてもブレてしまう時は試してみてください。
イルミネーション写真の作例と設定紹介
最後に実際に撮影した写真と設定を紹介していきます。
発光する球体にピント合わせ
ここは芝生の斜面にライトが設置されており、カラフルなボールが幻想的な光を放っていました。
手前のボールにピントを合わせました。
背景のライト類がキレイにボケてくれています。
絞り優先モードで撮影。
ISOは1600、絞り値は3.2、シャッタースピードは1/400秒です。
シャッタースピードが速すぎましたが、運よくあまりLEDが消えていない瞬間を撮影できました。
もう少しISOを下げて手ブレしない程度にシャッタースピードを下げた方がよかったですね。
ライトを玉ボケさせる
28mmの広角寄りの単焦点レンズで、絞り優先モードを使い撮影してみました。
オレンジ色のLEDライトが装飾された建物の背景には、大きな木にもLEDライトが飾られていました。
背景の木に付いたライトが玉ボケしています。
絞り値は10まで絞っていますが、ピントの合っている建物と木の距離が離れているのでキレイにボケてくれました。
スマホを使って背景を玉ボケさせる
マニュアルモードで撮影してみました。
スマホのカメラにイルミネーションを写し、カメラでスマホにピントを合わせました。
背景のLEDがとてもきれいですよね。
60mmのマイクロレンズ(マクロレンズ)を使い、被写体のスマホまでかなりレンズを寄せて撮っています。おかげで背景の玉ボケを大きくキレイに写すことができました。
マクロレンズでなくても撮影できますので挑戦してみてください。
光やライトをキラキラさせる
LEDや街灯などの点光源は、レンズに「あるアイテム」を取り付けることでキラキラと輝かせることができます。
そのアイテムとは、「クロスフィルター」と呼ばれるものです。
このクロスフィルターをレンズに装着することで、点光源の光が線になり、星のようにキラキラと輝きます。
※フィルター径はレンズと同じサイズのものを用意して下さい。レンズキャップの径と同じサイズでOKです。
私はケンコー・トキナー社の「R・スノークロス」というクロスフィルターを使用しています。
光源がまるで雪の結晶のような形になり、クリスマスシーズンのライトアップ撮影には最適だと思います。
※手振れしそうなシャッタースピードですが、ここでは地面にしゃがみ込み、体をガチガチに固定したので上手く撮影できました。
クロスフィルターをつけるだけで、おとぎ話の世界に入り込んだような気分を味わえます。
クロスフィルターの使い方や作例写真など、下の記事に詳しくまとめています。
興味のある方はこちらもご覧ください。
まとめ
イルミネーションはカメラ任せ(オート)で撮影すると、あまりキレイに撮れていないこともよくあります。
今回紹介したことを実践できれば、初めてでも上手く撮影できるはず!
F値・シャッタースピード・ISO感度の兼ね合いを上手く調整して、キレイなイルミネーション撮影にチャレンジしてみてください。